アメリカのCONN(コーン)などの独特でダークなサウンドはやはり魅力的で、そういった音色を意識して作られた太ベルの楽器には、Vカップの深いマウスピースが相性が良いです。
「29D4のリム内径を大きくしたモデルで、より豊かな音を持つ。太いベルの楽器に最適で、特に高音域の音程も安定する。」
と解説されています。
実際には標準的かやや小さめのリム内径、カップは深めのVカップです。
リムは厚すぎず、リップのコントールがしやすい形状です。
大きすぎないリム内径は高音域が楽で、また跳躍を多く含むフレーズなども演奏しやすいです。
深めのVカップ形状からは良い意味でダークな、スケールの大きいサウンドがホールいっぱいに響きます。
ff(フォルティッシモ)になっても音色が破綻することなく、大編成のオーケストラや吹奏楽団の中で存在感のある音色が際立ちます。
スロート手前付近から一番細くなるボアにかけて、逆円錐形にわずかにすぼまっていく独特な形状が目視でも確認できます。
これによって深めのカップとやや広めのボアとのバランスが絶妙に取られていて、息を取られすぎることがありません。
吹き込む息が安定するので、音がふらつくことなく音程も定まりやすい素晴らしいデザインだと思います。
バックボアの形状も含めて、どの音域でも吹きやすいバランスに優れたマウスピースです。
大編成の中での雄大なサウンドも魅力的ですし、透明感あふれるピアニッシモや、ソロ、アンサンブルにも幅広く対応する多様性のあるマウスピースです。
やや小さめのリム内径は、唇が薄めの方にも相性が良いですし、パワーがあるように見えない小中学生や女性奏者から壮麗でダークな音色を聴かされると周りも驚くと思います。
チャイコフスキー、マーラー、ショスタコーヴィチ、ホルストの惑星などのTuttiも、ぜひこのマウスピースの音で聴いてみたいです。
意外にモーツァルトのコンチェルトなんか吹くと、一般的なイメージと随分違う音色になって斬新な印象を持たれそうです。
もちろん絶対に太ベルの楽器にしか合わないというマウスピースではありませんので、いろんな楽器に合わせて音色や吹奏感などを探っていただくのも楽しいと思います。
同じ楽器でもマウスピースだけでこんなに音色が変わるのか、といった証明にもなると思います。
全体に素晴らしいコンディションです。ところどころ極わずかな小キズが極わずかに見受けられますが、よく見ないとわからないほどでほとんど気にならないと思います。楽器店で試奏を繰り返されて「新品」として販売されているマウスピースよりも、場合によっては状態が良いと言えるほどです。
全体の銀メッキの状態も極上で、美しく光り輝いています。
マウスピースの表面とカップ内からバックボア、シャンク先端まで、綺麗に洗浄して適度に磨いてありますので、汚れなどの心配のまったくない清潔な状態にしてあります。